2014年8月8日金曜日

大企業×スタートアップのイノベーション創出を目指す\QUANTUM Acceleratorとは?

TBWA\HAKUHODOの新事業である\Quantumについてご紹介したいと思います。

Human Centered Open Innovation 

TBWA\HAKUHDO(以下TH)は、世界100カ国に拠点をもつ国際的な広告会社TBWA\と博報堂との合弁会社。THは「広告代理店」と呼ばれることからの脱却を目指しており、博報堂グループが軸としている生活者発想に新しい技術を組み合わせることで、広告会社の新しいビジネスを創出していこうとする取り組みを3年前より開始していました。
それが生活者発想のオープンイノベーション HCOIです。


これまでには、先端テクノロジーを活用することで、電気・ガス・水道などのインフラに縛られないライフスタイルを提案する「ミライニホン」といったプロジェクトなどを推進してきました。


オープンイノベーションのプラットフォーム 

HCOIを今後一層強化していくために必要なことは何か?
端的に言えばプロジェクトを推進するための馬力の強化と、推進スピードをあげることでした。そこで従来のHCOIのコンセプトに加え「HCOIで培ったTHのノウハウの仕組化と外部利用化」と「スタートアップを巻き込んだ推進スピードの強化」という要素を取り入れ、TBWA\HAKUHODO\QUANTUMという組織が誕生しました。

\Quantumでは下記の3つの活動をおこなっております。
(1)スタートアップと大企業との恊働を推進する”アクセラレーター”
(2)大企業にHCOIのノウハウを提供する”パートナーシップ”
(3)我々自身がHCOIを実践した自社プロジェクトを推進する”メイカーズ”

今回は、アクセラレーター事業についてご紹介いたします。

コーポレート ベンチャリング アクセラレーター 

Y combinatorと並ぶシードアクセラレーターであるTechStarsは、ニューヨークやオースティン、シアトルなどの各地域で地域ごとの特性を生かした都市密着型のアクセラレータープログラムを運営していることで有名ですが、他にもその仕組みを大企業に提供し、大企業と共同でアクセラレータープログラムを運営する取り組みを行っています。

ディズニーやバークレイズ、ナイキ、マイクロソフトなどの名だたるグローバルブランド
と共同でアクセラレータープログラムを開催し、参加するスタートアップは百数ドルの投資に加えてに大企業側の人材・リソース・人材・設備・技術などを活用しながら自分たちのビジネスやプロダクトのバリューアップすることができます。


\Quantumでは、TechStarsのようにコーポレート ベンチャリング アクセラレーターとして大手とスタートアップとを結びつける仕組みを大手企業に提供しています。
スタートアップに対して、TechStarsとは異なり投資活動は今のところ実施していませんが、大手のつながりはもちろんこと、THチームによりコンセプトメイキングや、技術/クリエイティブ面、設備提供・開発費支給、コミュニケーションデザインなどの支援を通じ、事業をより拡大する機会を提供しています。
スタートアップ×大手企業でしか実現できない様々な新規事業や新サービス、斬新な体験の創出を目指しています。


Internet Of Things(IoT)の創出 

大手企業とスタートアップの協業を実施する上で一つの大きなテーマとしているのが、モノのインターネット(Internet Of Things)の創出です。
スタートアップの斬新なソフトウェア技術と大手企業が持つハード製品やインフラ基盤、
もしくはスタートアップの開発したハードウェア×大手企業のソフトウェア・営業網・量産体制の提供など、IoT分野は大手とスタートアップが組むことが最大の効果を発揮できる分野であると位置づけています。

すでに大手オフィス家具メーカーである岡村製作所さんとプロジェクトを開始しており、オフィス空間でのイノベーション創出への取り組みを開始しており、アイデアが続々と集まっています!

近いうちにパートナーシップやメイカーズの取り組みをご紹介できればと思います。

2014年2月14日金曜日

過去1年間のITベンチャーの事業売買まとめ

過去1年間のIT/広告領域のベンチャー界隈での事業売買ディールをまとめてみました。株式譲渡などではなく、事業そのものを取引の対象としているものが該当します。


Vantage

【譲渡元】ミクシィ
【譲渡先】アイスタイル
【譲渡予定日】2014331

VantageSNSmixi」のユーザー属性や趣味嗜好データなどを活用した外部サイトでのオーディエンスターゲティングが可能で、複数のメディア(媒体)への広告配信が行える広告主・広告会社向けオンライン広告取引プラットフォーム。


キレナビ

【譲渡元】トレンダーズ
【譲渡先】サイブリッジ
【譲渡日】2014131

キレナビは美容医療のクーポンと、ドクターコスメが買える美容クリニック専門ECサイト。はあちゅうこと伊藤春香氏が編集長を務めていたことでも有名。
サイブリッジは下記にあるKAUPONの買収も含め、オールクーポンジャパン等と連携しサービスの強化が目的。


P-Pointer アクセルメール

【譲渡元】KLab
【譲渡先】レピカ
【譲渡日】2013111
【売却額】25000

-PointerPCやファイルサーバ内の、ExcelWordPowerpointcsvpdf、圧縮ファイルなどの ファイルの中身を個人情報を特定するための辞書を使って検索し、個人情報や機密情報を含むファイルを 可視化するソフトウェア。
アクセルメールは、携帯・スマートフォン向けに大量のメールを高速配信するメール配信エンジン(MTA)


KLab SI事業

【譲渡元】KLab
【譲渡先】アクロディア
【譲渡日】2013111
【売却額】35000

上記のライセンス事業の譲渡の合わせて、KLabはリソースを主力のゲーム事業の集中することが狙い。


ショッパーズアイ

【譲渡元】イトクロ
【譲渡先】ミクシィ
【譲渡日】2013122

ミステリーショッピング(覆面調査)のクラウドソーシングサービス。
このサービスを立ち上げた中岡伸邦氏は現在は独立し、マイコメントというミステリーショッピング事業を展開している。


フリーマーケット楽市楽座

【譲渡元】マーケットエンタープライス
【譲渡先】オークファン
【譲渡日】2013101
【売却額】8500
過去に36都道府県、のべ 850 回以上に渡って開催されてきたフリーマーケットのイベント事業と、全国で開催されるフリーマーケットの情報サイト。


KAUPON

【譲渡元】キメラックス
【譲渡先】サイブリッジ
【譲渡日】201381

上述キレナビ同様、サイブリッジはオールクーポンジャパンの強化が目的。


パンカク スマホアプリ関連事業

【譲渡元】パンカク
【譲渡先】コロプラ
【譲渡日】20137月下旬
【売却額】約2

コロプラ側は、今回の事業享受で国内外市場向けに高品質なゲームアプリサービスをより迅速に開発・提供していく体制を構築していくとのこと。


tokupo

【譲渡元】メタップス
【譲渡先】テレビ東京ブロードバンド
【譲渡日】201331

tokupoは国内では老舗の共同購入クーポンサイト。
テレビ東京ブロードバンドはクーポン共同購入サイトのまとめサイトである「てれとクーポン」も運営しており、てれとクーポンと、トクポの相乗効果により、収益拡大・会員数増加を目指す。


ケイティ

【譲渡元】マイネット
【譲渡先】ヤフージャパン
【売却額】35千万

ケイティは2007年1月に立ち上げた、飲食店を中心とする店舗向けモバイルCRM



2014年2月11日火曜日

【国内】プログラミング知識不要の開発ツール7選とビジネスモデルの検討

スマホ向けアプリの制作需要増加に伴い、大きな壁となってくるのがプログラミング言語やそれに付随するする技術の習得です。サーバーの設定や実行環境の構築を自動化するなどのクラウド技術の誕生を背景に、プログラミング知識不要でブラウザ上でのアプリケーションの制作を可能にするツールが誕生してきました。
本稿ではその主なサービスを取り上げ、最適なビジネスモデルを検討します。



(1)Yappli -ファストメディア-

2013年4月に立ち上がったサービス。メンバーはYahoo Japan!の出身で、YJキャピタルを引受先に3000万円程度の調達も完了しており、おざーんこと小澤隆生氏も役員に名を連ねている。
サービスの特徴としては、アイコン等ドラッグ&ドロップのみでアプリ制作が完結する他、アプリユーザーの位置情報を識別してプッシュ通知を送信する"ジオプッシュ機能"などがある。日本共産党やcolemanの公式アプリとしても本サービスが採用されている。


(2)アプスタ -ドリームネッツ-

プログラミング不要の開発ツールは、ユーザーがブロックなどを組み立てある程度カスタマイズを行うことができるのが通常なのだが、アプスタの場合、所定のフォームの入力さえすれば、アプリデザインからアイコンの準備、登録手続きまでをすべてアプスタ側で行ってくれる。専用の管理画面も準備でき、ユーザーが"開発"にかける手間はほとんどない。
ビジネスモデルも特徴的で、この手のサービスは定額課金型で、サービスによって開発されたアプリのDL数がいくら増えようとも課金額は変わらないモデルなのだが、アプスタの場合、アプリの開発から100DLまでは無料、以降DL数に応じて、課金の金額が変わる従量課金型の仕組みが整っている。
スタンプカード機能や、クーポン発行などの機能もあり。



(3)スマートキャンバス -ヒトクセ-

本サービスはKDDI∞LABO 4期生に採択されているヒトクセが提供している。HTML5のCanvas機能を使用した当社の独自の技術でブラウザ上のマウス操作のみでスマートフォン向けのWEBアプリ、WEBサイトの制作が完了するの特徴となっている。



(4)JointApps -デジタルハリウッド-


ブロックをつなげていくだけでオリジナルのAndroidアプリを制作できるサービス。アプリを動作させるには「Joint Apps Player」という動作用のアプリをDLする必要あり。小学生向けのワークショップにも利用されていることから、商用向けではなく、知育ツールとして活用するのが望ましい。

(5)アプリビルダー -アムゼネット-

http://app-builder.jp/

HTMLベースのアプリの制作が可能。最終的にソーシャルアプリレベルのコンテンツ制作も実現できるとのこと。ユーザーが作成したアプリに表示される広告スペースの一部を独占し、広告収益を得られるという点が特徴的。


(6)AppExe -モビラス-

ソフトバンクBB社が販売パートナーをつとめる。同社のプレスリリースによると、
  • 企画段階などでの手書きイメージなどをアップロードして画面に取り込める「ワイヤフレーム機能」で、テンプレートなどの制約なしにイメージに合わせた自由なレイアウトが可能。
  • ネイティブアプリの他、HTML5でのアプリケーション作成も可能。
  • 導入企業の既存データベースやFacebook、Twitterとの連携が可能。
  • 多言語対応で、ボタンのテキストなどを英語、中国語、ロシア語、フランス語、スペイン語など約60カ国語に変換可能。
などが大きな特徴といえそう。比較的規模の大きな企業などに向いてそう。


(7)MONACA -アシアル-

こちらはプログラミング知識完全不要というわけではなく、HTML5、JavascriptでAndroid iOS Win8のネイティブアプリを制作できるというサービス。SanSanの名刺管理アプリの「Eignt」も本サービスを用いて制作されている。


プロダクトの自由度と開発の高速化

この手のツールは、フロント側の言語で開発するものと、ブロックの組み立てなどで開発するものの2タイプに分類できる。どちらにせよ、裏側のシステムのことは気にせずプロダクトの開発ができるという利点があります。
HTML5やjavascriptを用いて制作するものは比較的開発における自由度は高いものの、開発おける時間やコストが一定以上かかってしまう。
一方、ドラック&ドロップ形式で制作するものは、開発の時間などは大幅に削減されるものの、その品質は使うサービスの仕様によって左右され、機能も限定的なものにしか提供できなくなってしまう。
こうしたツールを使う際はアプリの目的、運用・改善の手間などを考慮し選択するべきだと思います。

ビジネスモデルは"従量課金型"が望ましい

制作されたアプリのDL数に応じて、課金の金額が変動する従量課金のビジネスモデルの構築が望ましいと思う。本稿で取り上げたサービスはほとんどが定額課金か、無料で提供されていた。100DLであっても、100万DLであっても月に定額で数万しか入らないモデルよりかは、アプスタのように、100DLまで完全無料で、以降はDL数に応じて金額が増加するような方式で、導入のハードルを下げて多くのユーザーを獲得し、ヘビーユーザーになるほど課金する仕組みを築くほうが事業のスケールが見込めると考える。